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経済

《企業研究》関西エアポート

台風で露呈した杜撰な運営体制

2018年10月号

「津波でも高潮でもかさ上げした護岸で守られているので安全だと思っていた」「日本の空港やオフィスビルの電気設備は概ね地下にある。通常の大雨なら排水ポンプで全て排水できた」
 九月初旬に日本列島を襲った台風二十一号「チェービー」がもたらした強風と高潮により文字通り“孤島”と化し、滑走路や地下の重要施設の浸水などで機能不全に陥った関西国際空港。その運営を一手に担う関西エアポートの山谷佳之社長は同八日の記者会見でこう指摘し、一連の被害が「不可抗力」によるものだったとの見解を全面ににじませた。
 確かに直撃を受けた関空では四日午後、最大瞬間風速が五十八・一メートルと過去最大を記録。大阪港では「百四十年に一度」といわれる高潮で潮位が一時三・二九メートルも上昇するなど直面した事態が「未曾有」だったことは紛れもない事実だろう。
 全長八十九メートル、重さ二千五百九十一トンのタンカーが猛烈な風に煽られて錨をつけたまま流される「走錨」を引き起こし、空港施設と市街地を結ぶ唯一のアクセス、連絡橋に衝突するなど「ほとんど想定外の出来事」(関空関係者)だったと・・・