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経済

ユニクロ柳井家の「世襲」戦略

「二人の息子」どちらが継ぐのか

2018年11月号


 戦後混乱の末期、一九四九年に山口県宇部市で小さな看板を掲げた紳士服専門店「メンズショップ小郡商事(メンズショップOS)」。復興期のとば口に産声を上げた街角の洋品店は、商号をユニクロに変え、これを経営する「ファーストリテイリング」は今や国内外に展開するグローバル企業にまで成長を果たした。その株式の時価総額は六兆円を突破し、ゆうちょ銀行や日本たばこ産業(JT)に比肩する。会長兼社長の柳井正氏は世襲を否定してきたものの、ここにきて、二人の息子のいずれかに継承するのではないかとの見方が急浮上している。アパレルガリバーはいずこへ向かうのか。

安倍人脈ともつながる次男の妻

 ファーストリテイリングの二〇一八年八月期の連結決算は、売上収益が初めて二兆円を超えて過去最高を更新した。柳井氏はその記者会見で「世界の人に愛顧されたことを感謝したいが、まだまだ販売を増やせると感じた」と、海外展開をさらに推し進める意欲を表明。同時に、長男一海氏、次男康治氏をそれぞれ取締役に充てる人事を発表した。「創業家が経営を主導する体・・・