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社会・文化

東大病院で「手術死亡事故」隠蔽事件

そして患者は「実験材料」にされた

2018年12月号

 日本医学界に君臨する東京大学医学部附属病院(東大病院)が、重大な医療過誤をひた隠しにしている。それは生き抜くことを切望し、この病院で手術を受けた四十代の男性、Aさんの無念の死。内情を知る関係者は「あれは手術ではなく、『人体実験』の果てに引き起こされた人為的な事故だ」と指弾するが、東大病院サイドは頰かむりを続ける。関係者の証言と入手した患者カルテなどから、崇高な使命を担うべき医師たちが手を染めた隠匿の全貌が見えてきた。
 Aさんは、進行した拡張型心筋症の治療のため、東大病院の循環器内科に入院していた。手術は九月二十一日で、マイトラクリップという細長い管(カテーテル)を挿入する経皮的僧帽弁形成術(以下、マイトラクリップ手術)なるものだった。前出関係者によれば「Aさんに施してはいけない手術に無理やり踏み切ったことが、悲劇の始まり」。
 しかも、未熟な医師が高度な手術を担当し、合併症に陥った。だが、医師はそれに気づくのが遅れ、適切な救命措置を実施しなかった。ミスの連鎖である。
 極めつきは死亡診断書。そこに「自然死」と記載し、遺族に虚偽の説明を並べ立てた。揚げ句・・・