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政治

首相官邸「恐怖による統治」が増幅

日銀や最高裁「政治隷属」の危うさ

2019年1月号

 強い政権は、選挙で勝っただけでは生まれない。手足となるエリートを意のままに動かすことができる力が必要だ。米国の大統領ドナルド・トランプがその力の源を「恐怖」に見いだしたことは、ボブ・ウッドワードの新刊『FEAR 恐怖の男』に詳述されている。では、今や主要七カ国(G7)で最も強く、安定していると称賛される安倍晋三政権の力の源は何か。それがトランプ同様の「恐怖」であることに、安倍を支持する有権者の多くは気付いていない。
 安倍政権の「恐怖による統治」は、国民の目にはつきにくい。理由は後述するが、その一端を、日本銀行の前総裁・白川方明が最近上梓した『中央銀行 
セントラルバンカーの経験した39年』が、図らずも明らかにしている。
 この回顧録では、選挙で選ばれた政権の方針を無視した金融政策をとれないところに民主主義国家の中央銀行のジレンマがあると看破し、選挙で勝つためには喫緊で重要な問題でも取り上げずに有権者受けすることしか言わないポピュリズム政治が、政策課題の設定を誤らせている実態を、静かに告発している。民主的な手続きの誤用や意図的な悪用が、日銀の独・・・