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英国「対ロ秘密情報戦」の内実

暴露された陰の組織と「黒い手口」

2019年3月号

 北海に臨むスコットランドのファイフといえば、全英オープンの開催場である「ゴルフの聖地」セント・アンドルーズを真っ先にイメージするだろう。だが昨年秋、ファイフは別の意味で英国内外の注目を集めるに至った。
 十一月の五日と二十九日、そして十二月十三日の三回にわたり、「II」(インテグリティ・イニシアチブ)と称した英国軍の諜報部門と英国外務省が関与した秘密情報戦の膨大な内部資料が、正体不明のハッカーによってインターネット上で暴露された。そして、この「II」を実施する「ステートクラフト協会」(IfS)と名乗る団体が、ファイフ西部のゲイトサイドという寒村に本部を置いていることが内部資料によって判明したからだ。
 いまや「II」をめぐっては英国議会でも取り上げられる騒ぎになっているが、その大元が首都から遠く離れたスコットランドの片田舎というのは一見奇妙な感じを受ける。だが、英国の地方紙記者が「IfS」の登録されている住所を訪れたところ、あちこちが崩れかかった元工場の廃墟だった。
 実際の「IfS」本部はロンドンの中心部・シティの一角にあることがすでに報じられているが・・・