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復権「李克強」が舵取る中国経済

脱「習近平路線」政策の成否

2019年4月号

 圧倒的な権力を握ったと思われた習近平国家主席の基盤に揺らぎが見え始めた。きっかけはいうまでもなく、米中経済戦争。中国の力を誇示する習主席の姿勢がトランプ政権を刺激した面は否定できず、国内での露骨な権力集中への反発もあって、習批判が高まった。
 その反動で力を回復しつつあるのが李克強首相だ。一時は経済政策の実権も習主席に奪われていたが、今回の全人代では政策に「李首相色」が垣間見られた。権力闘争とも絡み合いながら、「改革開放」以来最大の危機ともいわれる中国経済は今年、どう展開していくのか。

「放水養魚」に歓迎の声

 毎年三月に開かれる全国人民代表大会(全人代)では、会場の人民大会堂ひな壇の人物の振る舞いや三千人の代表の拍手に時の権力情勢が表れる。
 二〇一七年の全人代。冒頭の政府活動報告で李首相は変調を示した。ハンカチで拭いきれないほどの汗をかき、顔色は褐色になり、言葉に詰まる箇所もあった。健康状態だけでなく、指導力にも疑問を抱かせた。この全人代以降、習主席が一気に権力を集中させ、翌年の全人・・・