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経済

みずほFG「巨額損失」の真相

有価証券投資「大失敗」の深い傷

2019年4月号

「よっしゃー!」
 みずほフィナンシャルグループ(FG)が二〇一九年三月期決算で六千八百億円の巨額損失計上と、業績大幅下方修正を発表した翌日の三月七日早朝。東京・大手町にある本社「大手町タワー」の役員室フロアには、こう快哉を叫ぶ坂井辰史社長の声がしきりと響き渡っていたという。
 前日夜から当日朝刊にかけてのマスコミ各社の報道内容を隈なく精査した結果、その大半が今回の一連のみずほの損失処理を「デジタル化やキャッシュレス化など金融界の構造変化に対応した前向きな動き」として伝えるものだったからだ。
 無理もあるまい。六千八百億円の損失処理の七割強を占める五千億円は、個人向け金融サービスの口座を管理する次期勘定系システムの開発費や店舗といった固定資産の減損だ。業績下方修正の主因でもあり、これを特別損失に計上することで期初に前期比一・一%減の五千七百億円としていた純利益は八百億円へと九割近い大幅な計画割れとなる。報道する側にしてみれば、どうしてもその損失規模の大きさに目が向かう。
 だが、今回の損失処理の主眼は、実は残り一千八百億円の方に置かれていたのであ・・・