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経済

韓国経済の悪夢「年金公団崩壊」

絶望が覆う超高齢者国家

2019年5月号

 大韓航空を中心とする財閥「韓進グループ」会長の趙亮鎬氏が四月七日、滞在先の米国の病院で急逝した。自身の背任や横領問題、家族のパワハラ問題で注目を浴びてきた趙氏。その死は、三月の大韓航空株主総会で自身の取締役再任案が否決された直後だった。
 再任案を巡る攻防で、否認の急先鋒となって外国人投資家を巻き込み、僅差での勝利を主導したのは筆頭株主「国民年金公団」(以後、公団)。公団側は「スチュワードシップ・コード(機関投資家の行動規範)」に基づいて否認したとしており、国民には悪徳の金持ちを倒した英雄のように映っている。
 これに先立ち、文在寅大統領は 「公団の株主としての権利を積極的に利用する」と明言していた。左派支持層からの突き上げにより、これを体現したことになる。ただ「国家が民間企業の経営に直接的に介入する」という社会主義的な悪い先例となった。公団を巡る状況からは、韓国社会・経済の絶望的な未来が浮かび上がってくる。

巨大な「隠れ国家債務」の存在

 公団は日本の年金積立金管理運用独立行政法人(G・・・