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経済

新生銀行「スルガ救済」の裏事情

「不良地銀の受け皿」を期待する金融庁

2019年6月号

よくもここまで腐りきったものである。静岡県の地銀、スルガ銀行は五月十五日に発表した二〇一九年三月期決算で、不正融資債権の貸倒引当金繰入処理などが膨大化し、九百七十一億四千六百万円の最終赤字に沈んだ。それだけではない。同日、併せて発表した不正融資の調査結果によると、資料改ざんや偽造などの不正融資は総額一兆七百億円に達し、投資用不動産向け融資全体の六〇%を占めていることが判明。この不正融資額は同行の全融資残高の三〇%に達した。
 あまりに巨額な不正融資に圧倒されたせいだろうか、結局、大山鳴動の果てに鼠一匹しか現れない展開となったのが、スルガ銀への資本提携先問題だ。すでに五%の株式を保有する家電量販店大手のノジマがフィンテック分野などでの業務提携を明らかにしたものの、率直にいって、「インパクトはゼロ」(有力地銀幹部)。話題作りの「前座」にすぎなかった。
 というのも、その裏ではりそなホールディングス(HD)、SBI
HD、そして新生銀行が本格的な出資に乗り出すとの噂が飛び交っていたからだ。しかし、決算発表日が近づくにつれて事態は変化していく。まず脱落したのが、り・・・