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経済

「ファーウェイ」は 必ず逆襲する

深圳から挑む対米「ゲリラ戦」

2019年6月号

 トランプ政権のファーウェイ叩きはスマートフォンで最も重要な通信用半導体や基本ソフト(OS)の供給源を断つ最終手段に発展した。「ファーウェイは絶体絶命の危機」との見方が広がるが、「政府対企業」の非対称の〝戦争〟が想起させるのは米国がゲリラに手を焼き、敗北したベトナム戦争である。ファーウェイはじめ中国の民間企業が構築した「深圳―台湾コネクション」を基盤とする生産エコシステムは、トランプ政権に対抗するゲリラ戦の舞台となるだろう。同政権にとってファーウェイはたやすく倒せる相手ではない。
 中国・深圳市松山地区に広がるファーウェイ本社。いわゆる「キャンパス」に五月十六日、米政府による部品禁輸などサプライチェーンへの締め付けに対応するため、ファーウェイの調達部門の幹部が集められた。各分野の部品在庫や調達先の状況が集約され、生産部門との突き合わせを行って出た結論は「スマホについては、七カ月間は現状レベルの生産が可能」というものだった。すでに昨年後半から部品在庫を増やしていた効果だった。
 だが、ファーウェイにとって事態はその後、さらに悪化する。通信用半導体の設計で最も重要な部分・・・