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政治

衆院「十一月解散」の風雲

「年末選挙」を巡る政局の行方

2019年7月号

「安倍総理は最後まで衆院解散に強いこだわりを持っていた」
 首相安倍晋三をよく知る経済人はこう語る。その安倍が解散を断念した最大の要因は、六月十二日から十四日までのイラン訪問の失敗にある。
 安倍は極めて危うい状況にある米国とイランの仲介外交で一定の成果を狙っていた。しかし、仲介どころかイランの最高指導者ハメネイは安倍との会談後にトランプを痛烈に批判した。
「トランプはメッセージを交換するに値しない。トランプには返事をしない」
 さらに安倍・ハメネイ会談を狙ったかのように、ペルシャ湾のホルムズ海峡付近で航行中のタンカー二隻が攻撃を受ける事態が発生した。このうちの一隻は日本の海運会社の運航タンカーだった。皮肉にも安倍のイラン訪問を境にイラン情勢は緊張の度合いを増した。
 安倍のイラン訪問について米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは厳しい見出しで酷評した。
「中東和平における初心者プレーヤーが痛みを伴う教訓を得た」
「地球儀を俯瞰する外交」を掲げた「外交の安倍」の看板は無残な姿をさらした。安倍は帰国後、イラン訪問につい・・・