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経済

Jパワー「分割・再編」の往生際

石炭火力「総スカン」で尽きた命運

2019年7月号

 生涯独身だったデンマークの国民的童話作家、H・C・アンデルセンは、赤貧の少年時代を呪いつつ『醜いアヒルの子』の成功物語を書いたという。翻って電力自由化の適者生存の競争を展望するとき、童話の大団円のような勝利者は現れるだろうか。
「結局、役所が目をかけているのは大手電力会社だけ。ガス会社も石油会社も蚊帳の外だが、ところで、Jパワー(電源開発)は大手電力の仲間に入れるのか……」
 あるエネルギー関係者は、義憤に揶揄を交えてこうつぶやいた。というのも、経済産業省が四月二十二日、電力小売業者に対し、販売電力量の一定比率を、太陽光や風力、原子力など化石燃料を使わずに発電した電力で賄うことを義務付け、それを促す「非化石証書」取引を二〇二〇年度から開始する、とする審議会検討案の骨子をまとめたからである。
 非化石証書とは、購入すれば非化石電力を調達したとみなされる環境価値を指す。火力電力を主体とする多くの新電力はもちろん、ガス会社、石油会社もこれを購入せざるを得ないが、非化石証書の主な発行元は原発を運営する大手電力会社。すなわち、競争相手か・・・