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経済

《企業研究》ゆうちょ銀行

高齢顧客を「喰い物」にし始めた

2019年7月号

「守るべきルールが順守されていなかった点を厳粛に受け止め、深く反省している。改めてお客様本位の販売体制を構築したい」。六月十八日、都内のホテルで開催された定時株主総会。池田憲人社長はこう陳謝して株主らに頭を下げた。
 投資信託の不適切な販売が発覚したゆうちょ銀行。七十歳以上の高齢者に投信を勧誘する際、正常な判断力があるかどうかなど健康状態を確認する必要があるという社内ルールがあるにもかかわらず、手続きを怠るなど「多数の店舗でルールに即しない取り扱いや営業行為が行われていた」(池田社長)というもので、その数一・五万件以上。直営二百三十三店の実に九割超に当たる二百十三店でルール違反が見つかったという。
 なかには、本来なら勧誘時に行うべき健康状態の確認を投信購入の申し込み時に一緒に済ませて手抜きをしていたり、社内で定めた書式を使っていなかったりといった事案も含まれているとされる。
 だが、抵触しているのは本当に社内ルールだけなのか。認知症が疑われる高齢者にハイリスクの商品を売りつけるなど、顧客度外視の投信販売が横行していることを問題視した金融庁の「内面指導」(・・・