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経済

経団連「会長復帰」でも 拭えぬ深憂

事務局主導「財界ごっこ」は続く

2019年8月号

 朝から小雨が降り続いた七月十八日、長野県の軽井沢プリンスホテルで恒例の経団連夏季フォーラムが開催された。名だたる企業のトップが居並ぶ中、まず登壇したのは事務方トップの久保田政一事務総長。リンパ腫で長期療養中の中西宏明会長のメッセージを久保田氏が代読するという異例の形でフォーラムがスタートした。トップ不在が長引く中で、久保田氏ら「民僚」と呼ばれる経団連職員の存在感はいや増している。
 七月二十六日、経団連は中西会長が、九月九日に予定されている会長・副会長会議から復帰する見通しであることを発表した。しかし、その前後に予定されている北京での中国政府との会合への参加はしないという。さらに国内での各地域経済団体との懇談会についても当面は出席を控える。ある財界関係者が語る。
「完全復帰ではないということ。抗がん剤治療ということもあり、今後も予断は許さない」
 夏期フォーラムに会長が不在であること自体初めてだったが、そもそも経団連の内規では、会長が不在の際の規定がない。そのため、この間の各種行事などについては、十八人いる副会長を代理で派遣するなど、対応に追われた。前出・・・