三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《地方金融の研究》ふくおか フィナンシャルグループ

長崎「植民地支配」への不安と恐怖

2019年9月号

「問題は景気が悪化して経営が揺らぎはじめた際にどこまで支えてくれるかだ」。地元財界関係者は言い切る。
 難産の末に今年四月、長崎市に本店を置く十八銀行を傘下に収めたふくおかフィナンシャルグループ(FG)。総資産は二十四・四三兆円(六月末時点)にまで膨らみ、地銀界二位のコンコルディアFGに五・六四兆円と「中堅地銀まるまる一行分」(メガバンク幹部)ほどの差をつけて首位に君臨する。
 そのふくおかFGが打ち出しているのが二〇〇七年十月に子会社化した親和銀行(佐世保市)と十八銀との持株会社の下での再編だ。二〇年十月をメドに合併に踏み切り、新銀行「十八親和銀行」を発足させる。
 新銀行は、単純に一体化すれば長崎県内における貸出金シェア七割超。経営統合の認可に際して昨年八月に公正取引委員会に約束した、他の金融機関に対する一千億円規模の貸出債権の譲渡を行ったとしてもシェア約六五%を握る県内では断トツの存在となる。
 とはいえ米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ世界の中央銀行が金融緩和へと舵を切る中、日銀がいまの政策スタンスを修正できるハズもなく、異次元緩和は・・・