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連載

Book Reviewing Globe 424 

米国が中国との競争に勝つ方法

2019年9月号


 米国の対中政策は、一九七二年のニクソン訪中以後長年にわたって「関与せよ、ただし、ヘッジする」を基本に追求されてきた。その点に関しては、共和党も民主党も変わらなかった。
 そして、それは米国の建国以来もっとも重大な戦略的結果をもたらすことになった。それが成功したからではなく、失敗したという点においてである。
 その政策の失敗は、米国主導の世界秩序の終焉の瀬戸際へと米国を追いやっている。
 中国人民解放軍は、米、英、カナダ、オーストラリア、ドイツに科学技術習得のため現在、二千人の科学者を送り出している。中国の技術窃取に対して西側はいままで余りにも無防備だった。
 二〇一八年までに二万人の中国人がパキスタンに移り住んだ。パキスタンでの「一帯一路」プロジェクト目当てである。中国は、北極と北極航路をも「一帯一路」に組み込んでいる。
 ファーウェイ(華為技術)はインド洋のモルディブ、グワダル、ジブチ、ケニアをつなぐ海底ケーブルを敷設することを検討している。インド洋のデジタル・インフラを支配しようというのだ。
 中国は、南太平・・・