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経済

東京電力は首都圏を「保守」できない

経産省こそ大停電の「A級戦犯」

2019年10月号


 世界最高品質を謳っていた電力インフラが、一夜にして破壊された。「ファクサイ」と名付けられた過去最強クラスの台風十五号は、九月九日に千葉県に上陸。千葉市で最大瞬間風速五十七・五メートルを観測するなど、猛烈な風で木々をなぎ倒しながら関東地方を通過した。暴風によって倒壊した樹木が電柱に接触し、あるいは電柱そのものが倒壊し、関東では千葉県を中心として最大九十三万軒の停電が引き起こされた。関東を管轄する東京電力パワーグリッド(PG)が停電復旧に手間取り、復旧見通しも二転三転したことは、周知の通りだ。
 停電復旧の遅さに、各メディアは東電PGの見通しの甘さに対する批判を強めた。中には、設備の老朽化を東電PGが放置し、それによって大規模な停電が発生したとの見方を伝えたところもあった。だが、こうした批判・指摘は、いずれも的外れだ。内情に詳しい電力関係者は「見通しの話は、内閣改造の話題を汚さないように復旧のめどをつけておけと国に命じられ、無理やり出してしまった。老朽化の件は、電力需要が伸びないせいで新規投資が減っていることを混同しているのだろう」と解説する。関係者の間で一致するの・・・