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EU離脱が商機となる英「金融街」

「ヘッジファンド天国」で一層繁栄

2019年11月号


「ボリス・ジョンソン首相を支えているのは、投機屋たちだ。連中は英国の欧州連合(EU)離脱に大金を賭けている」―。こんな指摘が、英国のフィリップ・ハモンド前財務相から飛び出した。
 発言の真意は、首相の強引な手法を難詰することだった。だが、さすがに前財務相。EU離脱後の英国が、「ヘッジファンド天国」になると正確に見通している。EUの金融規制から逃れ、保守党政権による法人税減税も視野に入る。ニューヨークと並ぶ、世界金融センターとしての地位は、EU離脱で一段と強化される勢いだ。
 ハモンド氏は、デビッド・キャメロン元首相の下で国防相、外相を務めた保守政界の重鎮である。
 テリーザ・メイ前首相の下では、英経済界の声を反映して、「離脱プロセスは極力緩やかに」と求めていた。ジョンソン首相が「合意なき離脱も辞さず」との姿勢を鮮明にすると、他の二十人の保守党議員とともに首相に反対する票を投じて、党籍をはく奪された。
 冒頭の見解は、保守系で離脱推進派の「タイムズ」紙への寄稿で表明したもの。「投機屋」の指摘は、離脱反対派に大うけとなった。表立って離脱を・・・