三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

「米朝融和」で割を食う日本

制裁「執行停止」に傾くトランプ

2019年11月号

朝鮮半島最高峰、白頭山に初雪が降る中、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が白馬に乗って現れる―幻想的なプロパガンダ画像が十月十六日、北朝鮮メディアによって発信された。「再び世界が驚く雄大な作戦が実行される」。ナレーションは意味深げに北朝鮮の〝次の一手〟を予告した。
 最高指導者の聖地訪問は何か大きな決断を下したことの暗示である。トランプ米大統領との対決ムードがピークを迎えていた二〇一七年十二月にも金正恩は白頭山に登り、その翌月から劇的に外交攻勢を始めた例がある。
 今回の「白馬の金正恩」が示唆するものは「米朝交渉勝利」への感触なのかもしれない。
 その約二週間前の十月四日、スウェーデンで開かれた米朝実務協議後、北朝鮮の金明吉巡回大使は「交渉は、我々の期待に応えることができず、決裂した」と声を荒げた。ところが代表団から報告を受けた外務省は「米国が降りた、という戦勝ムード」(平壌情報に通じた関係者)だったという。

石炭・繊維輸出が解禁か

 実務協議で双方が持ち帰りとなったのが、次の措置・・・