三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

広告を裏読みする 第11話

関電「原発マネー」の裏に電通の影
本誌編集部

2019年11月号

「高浜白宣言」―。
 福井県の南西部、若狭湾に面した高浜町。町内には白い砂浜で知られる若狭和田海水浴場がある。二〇〇八年に町長に初当選した野瀬豊が掲げたキャッチフレーズは、翌年から街のキャンペーンにも組み入れられた。〇九年十一月には大掛かりなプロジェクトチームが発足し、この高浜白宣言に基づいた広告展開などが行われた。
 当時の報道によれば、この宣言は「既成概念を捨てて、真っ白な気持ちでまちづくりに取り組む」という意図が込められていたという。キックオフイベントでは、海水浴場の白い砂山に、野瀬が白い旗を立てるというシーンがあった。こうした「白」を押し出したイベントの陰で、黒い原発マネーが渦巻いていたのである。
 高浜町の元助役である故・森山栄治。今年三月に亡くなった森山が関西電力の幹部に贈ったとされる金品は、判明しているだけで三億二千万円相当に上る。町内にある高浜原発は四基の原子炉を持ち、往時は関電管内の電力の二割を賄っていた主力発電所だった。森山はこの発電所の誘致に深く関与し、地元に原発マネーをもたらす「影のドン」として君臨したのだ。
 前述したキ・・・