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連載

Book Reviewing Globe 426

米国vs中露「ユーラシア」の攻防

2019年11月号

中国と欧州の定期貨物輸送は、二〇一一年三月に始まった。一八年には往復便が一万回以上、運行された。中国の急速な経済成長と市場拡大が欧州を“大陸漂流(continental drift)”へと向かわせている。一八年、中国の通信ネットワーク企業、ファーウェイは欧州当局から5G製品の公式認証(TEC=type examination certificate)を取得した最初の企業となった。これまた中国のプラットフォーマーによって、ユーラシア全域にデジタルとIoTに駆動されるロジスティックス革命が起こっている。中国政府のBRI(一帯一路)構想は、すでに始まっているユーラシア大陸の巨大なコネクティビティーの波の上でサーフィンしているのである。
 中国は現在、ユーラシアにおいて千載一遇の戦略的機会を手にしている。ただ、中国(とロシア)は、ここでの中心的な位置にもかかわらず、「南の海」へのアクセスがなお制約されている。そこで、両国とも“水陸両用”国家(“amphibious” states)へのアクセスと関係強化を求める。・・・