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日本の悪夢「中露同盟」の足音

「反米連合」が東アジアの脅威に

2019年11月号

 ロシアのプーチン大統領は十月三日、南部ソチで開かれた国際会議で、中国との関係について、「前例のない高い水準の信頼と協力が進んでいる。これは、多面的な戦略的パートナーシップが完全である点で同盟関係だ」と述べた。日本のメディアはこの部分を報じなかったが、プーチンが中露関係を「同盟」と形容したのは初めて。深まる中露の連携は、米中貿易戦争や米露対立を経て、遂に「同盟」に突き進むかもしれない。
 新中国成立直後の一九五〇年に調印された「中ソ友好同盟相互援助条約」は第一条で、日本を「中ソ共通の敵」と明記したが、中露の同盟は、歴史的、地政学的に日本にとって最大級の脅威となる。既に暗礁に乗り上げた日露の平和条約締結交渉は吹き飛び、中露は尖閣諸島と北方領土で共同圧力を強めるだろう。
 中露連携の対日軍事圧力も増加することになる。欧米諸国や他のアジア諸国にとっても、その衝撃は計り知れない。
 実は、現在の二国間関係を律する「中露善隣友好協力条約」は二年後に期限切れとなるため、中露両国で条約の取り扱いが密かに検討されている。現状では、自動延長が有力ながら、ロシアでは中露同盟論・・・