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ロシアに「中東新盟主」は務まらず

シリアの泥沼に沈むプーチン

2019年11月号

 トルコのレジェップ・エルドアン大統領が緊急の相談に駆けつけ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が誕生日を祝い、サウジアラビアのサルマン国王と国際原油価格を話し合う。
 十月の二週間あまりで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は中東キーマンたちと親密な関係を見せつけた。ソ連時代にさかのぼっても、ロシアがこれほど中東でもてはやされたことはない。
 ところが、この新「盟主」には、包括的な中東戦略がない。トルコとは緊急に事態打開策で合意したが、対立する諸勢力を調停する手段がない。資金や軍事力もこれ以上は出せないとあって、「ロシアの優位は長続きしない」との見方が早くも広がっている。

「三方一両損」のプーチン裁定

 トルコ軍のシリア侵攻から約二週間。国際的孤立を味わったエルドアン大統領は、ロシア・ソチに飛んだ。十月二十二日、プーチン大統領との六時間の会談で、面子を保つ道筋をつけてもらった。
 プーチン裁定は、①トルコが侵攻した地域に、ロシア、シリア両軍も入り、監視活動を行う②トルコは・・・