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政治

「安倍・菅」関係は末期症状

大臣「辞任ドミノ」で見えた官邸の地割れ

2019年11月号

「築城三年、落城一日」
 首相安倍晋三は二〇一六年の元日に発表した自らの年頭所感にこの警句を引用した。その上でこう述べている。
 おそらく当時の安倍の心境は言葉とは裏腹に自信満々だったに違いない。だからあえてこの警句に触れたのだろう。
 それから三年余―。皮肉にも安倍政権は警句そのものの状況に入りつつある。強い権力であればあるほど求心力低下は一気にやってくる。新聞、雑誌の政治記事からいつの間にか「安倍一強」の四文字が消えている。
 一貫して安倍に距離を置いてきた元自民党幹事長の古賀誠は周囲に繰り返す。
「これだという決定的なことがあるわけではないが、明らかに終わりが見えてきた。安倍さんがいい悪いじゃなくて権力とはそういうものだ」
 その古賀は、安倍が執念を燃やす憲法改正に「待った」を掛ける著書を上梓した。
『憲法九条は世界遺産』(かもがわ出版)
 戦争遺児だった自らの半生を振り返りながら憲法九条の意義を力説する。自民党が一八年にまとめた四項目の改正条文案の一つが「九条への自衛隊の存在明記」。九条改正は安倍が・・・