三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

日本の原発はこのまま「消滅」へ

田中 俊一(原子力規制委員会前委員長)

2019年11月号

―関西電力の幹部が原発立地自治体の元助役から多額の金品を受け取っていることが発覚しました。

 田中 福島第一原発での事故を踏まえて考えると、原子力業界が姿勢を徹底的に正さなければ、日本の原子力に先はない。残念ながら原子力政策の見直しもされないままなので、この国の原発はフェードアウトする道を歩んでいると眺めている。

 ―原子力政策のどこが間違っていたのでしょう。

 田中 日本の原子力政策は嘘だらけでここまでやってきた。結果論も含め本当に嘘が多い。最大の問題はいまだに核燃料サイクルに拘泥していること。使用済み燃料を再処理して高速増殖炉でプルトニウムを増やして一千年、二千年分の資源を確保するという罠に囚われたままである。一千年後の世界がどうなっているかなんて誰にもわからない。技術的にもサイクルが商用レベルで実用化できる可能性はなく、現に米国、英国、フランスが断念している。

 ―ではなぜ、いまだに核燃料サイクル路線を放棄しな・・・