宇宙空間における軍備拡大競争が、急速に進んでいる。
　これまで宇宙軍拡とは無縁だった日本が、航空自衛隊から「航空宇宙自衛隊」への改編を目指し、欧州連合（ＥＵ）も昨秋、「防衛産業・宇宙総局」の新設を決めた。
　先行する米国、中国、ロシアはそれぞれ、他国の衛星から情報を抜き取るスパイ衛星や、宇宙空間の攻撃兵器の開発、宇宙での電波妨害など「宇宙軍事化」を進めている。通信・インターネット産業から衛星測位システムまで、経済と暮らしがますます宇宙とつながっているだけに、宇宙軍拡の行方は、誰にとっても喫緊の安全保障の課題に浮上している。
　おとそ気分の一月初め。国内各紙は一斉に「航空宇宙自衛隊へ改称」と報じた。中には「正月の話題」ふうに扱ったメディアもあったが、内情は非常に深刻だ。
　防衛省詰め記者は、「安倍晋三首相は昨秋から、夢物語ではないと言っていた。日本はこの分野で立ち遅れていて、体制づくりから始めなければならない」と言う。「専守防衛」との整合性など、もはや構っていられないほど、事態は切迫している。

電波妨害、諜報、レーザー攻撃・・・