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日本はG20で「唯一の大人」

ホスク・リー=マキヤマ (通商シンクタンク主宰)

2020年2月号

 ―米中の「第一段階の貿易合意」をどう評価しますか?

 ホスク・リー=マキヤマ(以下HLM) 休戦協定のようなものだ。米側が昨春に準備した草案から、協定執行に関する部分がごっそり抜けている。米国は、あいまいな約束をたくさん引き出すよりも、検証可能で確実に執行できる合意を求めている。そこは今やっているのだろう。中国側が、今後二年間で二千億ドル以上の米国産品を買うということで、基準線が上がり、米中が実質協議に入る環境が整った。

 ―中国の譲歩ですか?

 HLM 二千億ドルの出費は、大したことではない。中国はもともと、米国産の機械が必要だった。農産物購入にしても、中国では最近、豚肉を筆頭に食品価格が高騰している。中国政府は国民の不満を抑えるため、食料輸入を増やす必要があった。
 私は米国のやり方は「ごり押し」で身勝手だと思うが、中国にとっても市場開放が必要な時期に来たと考える。
 今の中国は、「中進国のわな」に直面していて、これ以上の経済発・・・