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経済

キリン「荒れる株主総会」の墓穴

英ファンドとの攻防で冷淡な「三菱」

2020年3月号

 三月二十七日に開催されるキリンホールディングス(HD)の株主総会において、英ファンドのフランチャイズ・パートナーズ(FP)は、自社が推薦する社外取締役二名の選任と六千億円の自社株買いを求める株主提案を行うこととなった。同ファンドは二〇一四年からキリン株を二%程度保有し、水面下でビール事業への集中と医薬事業の売却を求めてきたが、磯崎功典社長は相手にしてこなかった。友好ムードから二度の和解案拒否を経て、両者の関係はついに全面対決となった。どちらに勝ち目があるのか。
 キリンは上場子会社にがんやアレルギーなどの抗体医薬を手がける協和キリンを持ち、昨年二月に協和キリンのバイオ事業の買収を行った。さらに、昨年八月にはファンケルの株式を三三%取得した。証券会社関係者は「これを腹に据えかねたFPは昨年十月、日本の機関投資家を行脚し、ノンコア事業を売却することでキリンの株価が上がる余地を訴えた。日本の機関投資家からの賛同も一定程度得られ、いけると踏んだのだろう」と読む。

キリン側が約束を反故

 キリンの株主構成は・・・