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WORLD

ドイツ政治・経済が「同時衰退」

欧州リーダー「二流国転落」の瀬戸際

2020年3月号

 欧州連合(EU)のリーダーであるドイツが、政治と経済の両面で大きく躓いている。
 アンゲラ・メルケル首相の「キリスト教民主同盟(CDU)」は二月、一時的に極右「ドイツのための選択肢(AfD)」と共闘するという、大失態を演じた。連立パートナーの社会民主党(SPD)は逆に、左旋回している。
 EUを引っ張ったドイツ産業界は、米国と中国のハイテク企業に席巻されて、ブランド力を大きく失った。政治・経済ともに今や「二流国転落」の様相を強めている。
 ドイツの抱える深遠な闇が、新たなテロ事件で表面化した。
 二月十九日、金融都市フランクフルト近郊のハーナウで、四十代の男性が「水たばこ」のバー二件で相次いで銃を乱射、九人を殺害した。バーの客の多くはクルド系だが、地元住民は「先祖の故郷には行ったこともない、ドイツ生まれのドイツ人たちだ」と言う。
 極右と当局の攻防は急展開している。昨年十月、東部ハレで極右がシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)を襲って二人を殺害する事件があった。当局は今年になって、極右結社「コンバット18」を非合法化し、さらに六州で強制捜査を・・・