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WORLD

中露vs米国「インド洋争奪戦」が激化

要所スリランカを巡る角逐

2020年3月号

 この一月、「インド洋の宝石」と呼ばれるスリランカで椿事が起きた。期せずして十三日に中国の王毅外相、十四日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が相次いで訪問したのみならず、十三日には米国務省のアリス・ウェルズ首席副次官(南・中央アジア担当)の訪問が重なったのだ。これはインド洋そしてスリランカが、今後の世界的パワーゲームの趨勢を決する舞台になっている現実と無縁でない。
 インド洋には世界の海上エネルギー輸送の三分の二、コンテナ輸送の五割を占めるシーレーンが走る。その地政学的重要性は中国の「一帯一路」構想及びそれと不可分の、インド洋を取り巻く各国に港湾の拠点を構築する「真珠の首飾り」と呼ばれるシーレーン防衛戦略によって一挙に注目されるようになった。同時に、シーレーンに最短で接するスリランカの動向から、目が離せなくなっている。

トランプからの強硬な親書

 スリランカでは昨年十一月の大統領選挙で、中国寄りとされるゴタバヤ・ラージャパクサ氏が当選。さらに新大統領によって実兄のマヒンダ・ラージャパクサ氏が首相に指名・・・