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社会・文化

米中距離ミサイルに 「硫黄島配備」説

日米関係に新たな難題

2020年3月号

 米露両国の中距離核戦力(INF)全廃条約が昨年八月に失効した後、米国は中距離ミサイルの発射実験を二度にわたり実施し、アジア配備へ動き始めた。中距離ミサイルの最大の保有国となった中国に対抗する狙いがあり、エスパー国防長官もアジアへの早急な配備方針を表明した。実は、日米専門家の間で密かに検討されている有力配備先の一つが、東京都の硫黄島なのだ。
 関係筋によれば、昨年十二月に東京で開かれた日米拡大抑止協議で、アジアへのミサイル配備問題が討議された。米側は核・ミサイル担当のスーファー国防次官補代理やディナノ国務次官補代行(軍備管理・検証担当)らミサイル専門家が出席しており、日本への配備問題も議題に上がった可能性が高い。日本側でも、官民合同の中距離ミサイル研究グループが検討作業を行っている。米軍幹部が最近、アジア配備の中距離ミサイルに装着する弾頭は通常爆弾で、核弾頭ではないと述べたことも、核アレルギーの強い日本への配慮ととれる。
 日米防衛専門家の間で最大の懸念は、INF全廃条約が有効だった三十二年間に、中国が約二千発の中距離ミサイルを保有し、アジアのミサイル・バランスが中・・・