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経済

新興国「債務危機」の大嵐

世界経済「長期沈降」の主因に

2020年5月号

 新型コロナウイルスとの戦争で人類は最終的には勝つのだろう。だが、その戦費を誰がどのように支払うのか。払えない場合はどうなるのだろうか。先進国においても大問題だが、それが新興国となれば別次元の「国難」になる。二〇〇八年のリーマンショックに端を発した前回の金融危機では、新興国は「危機後の成長エンジン」として「救う側」だった。今回は、近年の外貨建債券発行ブームを背景に借金の山を築いてきた多くの新興国に、未曽有の債務危機が迫っている。

絶望のアフリカ・南米

 レバノンが三月にデフォルトに陥り、すでに事実上破綻しているベネズエラ、アルゼンチンの仲間入りを果たした。一~二カ月後にはエクアドルが続くだろう。新興国債券価格が暴落した三月下旬の時点で、国債スプレッド(米国債との利回り差)は六〇%を超えており、秒読み段階に入ったといえる。「一〇%」を超えるとデフォルトに先行する動きとみなされるが、前述三カ国以外にザンビア、アンゴラなどすでに世界で十七カ国ある。アジアでは、中国による債務の罠にはまったタジキスタンとスリランカ、一・・・