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政治

コロナで潰れた「ポスト安倍」候補

リーダー不在「Gゼロ」の永田町

2020年6月号

 パンデミックの前後で世界は変わると言われる。同様に、新型コロナウイルスの感染拡大は、「ポスト安倍」をめぐる永田町の風景も変えつつある。次期自由民主党総裁に擬せられた政治家がこぞって評判を落とし、「ポスト・コロナ」の政局展望は、総理大臣・安倍晋三が描く筋書きからいよいよ遠ざかっているからだ。
 五月二十五日に緊急事態宣言が全面解除され、感染封じ込めの最初のヤマを越えるまでの間、最大の〝赤字〟を出したのは、自民党政務調査会長の岸田文雄だろう。
 緊急経済対策として減収世帯に三十万円を配る仕組みを主導しながら、自民党幹事長の二階俊博の一声と公明党代表の山口那津男の巻き返しで一人一律十万円給付の仕組みに差し替えられた。汚名返上のために取り組んだ「ハイブリッド型」と称する家賃支援の枠組みも、「分かりにくい」とすこぶる不評で、与党内では岸田に対する失望感ばかりが漂う。
 いくら安倍や公明党が岸田に花を持たせても、自分の手柄としてアピールできない岸田の限界に、与党からはため息が漏れる。

相対的優位が高まった石破{・・・