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政治

《罪深きはこの官僚》川原 隆司(法務省刑事局長)

賭け麻雀「大甘処分」 実現に奔走

2020年6月号

 元検事総長や東京地検特捜部OBまでが反対声明を出す騒ぎになった検察庁法改正案は、中心人物だった黒川弘務本人の「賭けマージャン」問題でまさかの結末を迎えた。定年延長問題は、検察内部に禍根を残しており、安倍官邸に魂を売り渡した検事がいる一方で、最後まで抵抗した者も多い。それぞれの立場の違いにより、庁内に疑心暗鬼も残っていたものの、黒川賭けマージャン問題の事務処理だけは異例のスピードで行われた。
「法務省は大慌てで、訓告に収まるように省内、検察でのコンセンサスを作った」
 全国紙政治部記者はこう語る。通常の役所と異なり、本省よりも上位の最高検察庁や東京高等検察庁という部門を持つ法務省では、そもそも省内に東京高検検事長だった黒川よりも上級の職員がいないという変則的な組織体系になっている。そのため、「法務省内はもちろん、高検や最高検との擦り合わせのほか、既に予想されていた市民団体による黒川の刑事告発を受理する東京地検も含めて『今回の賭けマージャンが刑事処分に当たるものではない』という方針を、急いでまとめる必要があった」(法務省担当記者)のだ。
 その中心となったの・・・