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経済

大成建設が狙う「再エネ利権」

「洋上風力」で税金をしゃぶる魂胆

2020年6月号

 再生可能エネルギーの大本命と目される洋上風力発電に、ゼネコンが食指を動かしている。洋上風力は海底に基礎を打つ着床式と、風車を水面に浮かべる浮体式があり、ゼネコンがとりわけ熱い視線を注ぐのは、次世代型技術の浮体式洋上風力だ。浮体式は長らく船の技術を持つ造船業界が得意としてきた。だが、技術開発が遅々として進まない現状を見たゼネコンが造船会社を追い落とし、利権にありつこうとしている。筆頭格は、四大ゼネコンの一角、大成建設だ。
 大成は二〇一九年十月、フランスの洋上風力発電メーカー、イデオルと浮体式洋上風力事業に関する覚書を締結した。イデオルは浮体式洋上風力に関する世界トップクラスの企業で、「ダンピングプール」という名の特許技術を持つ。浮体基礎の材料にコンクリートを使用可能で、これに大成が飛びついた。ただし、イデオルは造船会社の日立造船とも提携している。大成が寝取ったとも取られかねない動きだ。

コンクリ業界との結託

 イデオルの浮体式洋上風力の技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による北・・・