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連載

西風 470

コロナで揺れる「芦屋再開発」

2020年7月号


 超高級住宅地を抱えることで知られる兵庫県芦屋市は、阪神間に位置するため、ベッドタウンとしても人気が高い。その玄関口となるJR芦屋駅の再開発事業費を盛り込んだ予算案を市議会が否決し、事業が暗礁に乗り上げている。
 芦屋市は西を神戸市、東を西宮市に接し、北側から阪急神戸線、JR東海道線、阪神本線が東西に並行に走る交通至便な都市だ。
 そして、新快速電車も止まる芦屋駅の北口には商業施設「モンテメール」がある。今春、大規模補修が終了した同施設のある方面は、モダンさとオシャレな雰囲気を漂わせる。しかし一方の南口にはバス停があるものの道路沿いに数軒の店舗が並んでいるだけで、「芦屋」という言葉から感じる雰囲気とは少し趣を異にする。
 芦屋駅周辺の再開発事業の歴史は古く、一九四六年に戦後復興事業として始まった。駅北側の事業が先行し、七九年からは再開発ビルが建設された。
 一方で、駅南側の再開発は九三年から本格的に始動。ところが、その矢先の九五年一月に阪神・淡路大震災が発生し、芦屋市でも四百四十四人(震災関連死を含む)が死亡、八千七百戸余りの住宅が全・・・