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ペルシャ湾「中国軍駐留」の衝撃

イランと中国が「準同盟関係」へ

2020年8月号

 イランは一九七九年のイスラム革命以来、建前上、「東西不偏」を外交の柱としてきた。しかし、経済制裁で苦しいところに新型コロナウイルス感染拡大が追い討ちをかけ、そのスタンスが大きく揺らいでいる。中国が同国に急速に接近し、中東エリアでの軍事プレゼンスの拡大を狙っているというから穏やかではない。
 ここにきてイラン当局者からリークされた、中国と暫定合意にいたった交渉内容は大きな波紋を広げた。中国からの四千億ドルの資金協力の見返りに、イランはペルシャ湾に浮かぶキーシュ島を中国に二十五年間にわたって貸し出し、中国関連の権益防衛のための中国兵最大五千人が駐留するというものだ。
 イランは厳格なイスラム主義を看板に掲げる神権国家であるのに対し、中国がイスラム教徒のウイグル族を弾圧していることは周知の事実だ。今回の交渉内容には、イランのインフラ整備やエネルギー開発、5G通信や軍事分野も含む科学技術面で中国が協力するという包括的な内容。両国が実質的に同盟関係を結ぶという性格のもので、イラン側は、来年五月までに最終合意を目指すとしている。

保守強硬派は反対するが・・・