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政治

安倍応援団 「四季の会」の終焉

政権と共に消えゆく「偽保守」政商

2020年8月号

 前田晃伸NHK会長(元みずほフィナンシャルグループ会長、今年一月就任)は昨年十二月、任命された時の記者会見で、記者に問われて、自分が安倍晋三首相を囲む経済人の集まり「四季の会」のメンバーであると認めた上で、「政権との距離は保つ」と述べた。妙に「正直な」返答だった。
 第一次安倍内閣の二〇〇七年六月、「四季の会」中心メンバーである古森重隆富士フイルムホールディングス社長(当時)が、安倍首相の強い意向でNHK経営委員長に就任。半年後、同じ「四季の会」メンバーの福地茂雄元アサヒビール会長をNHK会長に選任した。経済人の起用は二十年ぶりで、以来現在の前田氏まで五代続く。福地氏の後任は、松本正之元JR東海社長。「四季の会」を創設、主宰してきた葛西敬之JR東海名誉会長の元部下である。
 これだけ同系列の人脈が続けば、公共放送の中立性が疑われるのも無理はない。松本氏の後の籾井勝人元会長(元三井物産副社長)が、記者会見で政府寄りの立場を再三公言して物議を醸したのだからなおさらだ。NHKは「四季の会」に支配されてきたのか。
 だが籾井氏と、後任の上田良一前会長(元三菱商事・・・