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中国版GPS「北斗」完成の衝撃

軍事・民生両面で重大な脅威に

2020年9月号

 中国で習近平国家主席が出席する会議やイベントが生中継されることは、年に数えるほどしかない。メディア全体が共産党中央宣伝部の傘下にあり、報道と宣伝の境目が曖昧な中国では、そもそもニュースの速報性より党の威信を高めることに主眼を置いている。メディアにとって、ハプニングが危惧される生中継は大きなリスクでしかなく、国営中央テレビ関係者は「不測の事態をそのまま放送してしまえば、幹部の首は一発で飛ぶ」と漏らす。反対に言えば、生中継されるイベントは周到に準備されていると同時に、共産党にとって極めて重要な意味を持つものだ。
 その意味で、七月三十一日に北京の人民大会堂で開かれた全地球測位システム「北斗三号」の完成式典が中継されたことは、党指導部がこの衛星ネットワークの構築をいかに重視してきたかを物語っている。大型スクリーンの前に座った習氏が紹介動画を十分ほど鑑賞した後、「正式開通」を宣言するという単調な催しだったが、国威発揚としては申し分ないのだろう。国営新華社通信によると式典後に展示を見て回った習氏は「力を結集し、社会主義の政治的優位性を体現した」と喜んだという。
 日本ではあ・・・