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政治

総裁レースの「大穴」河野太郎

「もしや」が消えない事情

2020年9月号


 八月十七、二十四日と二週連続した安倍晋三首相の慶應義塾大学病院への「通院」を合図に、「ポスト安倍」レースの号砲が鳴った。大方の予想が本命・岸田文雄、対抗・石破茂だったのは、コロナ禍以前の遠い昔話だ。以前なら一笑に付されていた「河野太郎首相」説が、八・一七以後、急浮上してきたのである。
 コロナ禍は、総裁選レースを一変させた。本命・岸田が自滅してしまったのである。
 岸田は、首相同様、政治家三代目という出自もあり、「忠良なイエスマン」として安倍の寵愛を受け、外相、自民党政調会長という要職を歴任。本人も禅譲狙いで早くから動いてきた。だが、コロナ禍対策の「十万円給付金」騒動ですっかり男を下げてしまい、その後もテレビに積極的に出演しているが、弱点の発信力は弱いまま。
 一方、安倍ら主流派から「石破だけはだめだ」との拒否反応が強い石破は、地方行脚を徐々に再開し、党員票の積み上げを図っている。しかも総裁選のカギを握る二階俊博幹事長の支持を得ようと急速に接近し始めた。
 焦る主流派は、岸田に代わって菅義偉官房長官の擁立を検討し始めた。洞ヶ峠を決め・・・