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社会・文化

NHK「前田会長」が大暴走中

公共放送を翻弄する「ど素人」の老害

2020年9月号

 NHK会長に前田晃伸氏が就任して以来、その言動を巡る「奇人変人」(関係者)ぶりが際立つ。東大法学部を卒業して富士銀行副頭取、みずほフィナンシャルグループの初代社長という華々しい経歴。そこに持ってきて、安倍晋三首相の推しで公共放送トップに収まったというのが一般的な認識だろう。ところが、ふたを開ければ、安倍政権に敵対的だという。それだけなら権力の操り人形にならない矜持と言えるが、物議の源泉は「放送にど素人なのに、プライドが高くて頓珍漢な指示を繰り出し、現場を大混乱させていること」(NHK局員)。黄昏の安倍政権と逆相関するがごとく、この御仁の暴走が加速していく。 
 そもそもNHK会長の報酬は年間三千万円強で、億単位の年収を得てきた財界トップクラスには割が合わない。国会答弁に立たされるなど気苦労も多いからだ。そんなポストに前田氏が今年一月に就任した訳は、なり手がいなくて困った菅義偉官房長官が杉田和博官房副長官に人選を委ねたのが発端。杉田氏は一時、安倍首相を囲む財界人の集まり「四季の会」の事務局役を務めていた。この会はJR東海の葛西敬之名誉会長が主導する。杉田氏が葛西氏と・・・

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