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政治

菅政権「長期化」への深謀

安倍の嫉妬と「内なる敵」が障壁

2020年10月号

 第九十九代内閣総理大臣、菅義偉が誕生して約半月。新聞・通信社が実施した世論調査の結果が出揃った。読売新聞と日本経済新聞の七四%を最高に以下、共同通信六六%、朝日新聞六五%、毎日新聞六四%と続いた。三〇%台後半に低迷した安倍晋三政権末期に比べると上々の滑り出しと言っていい。九月十四日に行われた自民党総裁選でも菅は、議員票と党員票を合わせた総投票数の約七割を得て圧勝した。
 その勢いを駆って「デジタル庁の創設」「携帯電話料金引き下げ」「縦割り行政の打破」―など矢継ぎ早に担当閣僚に指示を飛ばした。不安視された外交でも米大統領トランプ、ドイツ首相メルケル、英首相ジョンソン、さらには前首相安倍晋三とは溝があった韓国大統領の文在寅、国賓来日について安倍周辺が激しく反発している中国国家主席習近平との対話を成立させた。いずれもコロナ禍での電話会談とはいえ、「指導者の交代は空気入れ換えの好機」(外務省幹部)を実践した格好だ。
 菅は内政をめぐっても「国民のために働く政権」を繰り返し力説する。聞きようによってはいずれも安倍政治を継承したはずの菅の「安倍離れ」の兆候と言えなくもない。安・・・