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経済

「ドル一強」終わりの始まり

米大統領選後の市場の「読み筋」

2020年11月号

「ドルは非常に強い。全体的に言えば強いドルは良いことだ」。コロナ禍で米ドルが高く推移していた四月、ドル安誘導政策を行ったにもかかわらず、強硬な貿易政策によって望まないドル一強時代を招いたドナルド・トランプ大統領が珍しく、ドル高を容認したのである。しかし、その後は一転して「FRBはマイナス金利導入を」と再びドル安誘導のために不満を述べるなど発言は二転三転してきた。大統領の発言は為替変動に影響を与える。十一月三日米大統領選挙で、このわかりやすいキーマンが消える可能性が高まっている。
 まず、主要六カ国通貨バスケットに対するドルの強さを示すドル指数の動きを振り返ろう。年初に九六・五〇だった米ドル指数は、コロナショックと原油ショックがあった三月九日に九四・八九の安値を付けた後、反転急騰して三月二十日に一〇二・八二の高値を付けた。その後は下落傾向が続き、本稿執筆時点で九二~九三付近で推移している。コロナ禍によって大統領就任前よりドル指数は安くなっているが、それはトランプ自身が望んできたことでもある。
 投機筋にとって大統領選挙は「四年に一度の祭り」。二人の米大統領選挙候補者が・・・