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社会・文化

名門「東京ゴルフ倶楽部」に異変

前代未聞の内紛と資金繰り悪化

2020年12月号

 一九一三年(大正二年)、国内で三番目のゴルフ場、日本人によって設立されるものとしては初のコースである「東京ゴルフ倶楽部(GC)」が発足した。コースは当初、現在の駒沢オリンピック公園の場所にあり、摂政宮だった昭和天皇が皇太子時代の英国王エドワード八世とプレーしたことで知られる。摂政杯とプリンス・オブ・ウェールズ杯を下賜され、今もクラブ内競技として存続しているところは東京GCしかない。現在のコースは埼玉県狭山市にあるが、押しも押されもしない「超名門」だ。その東京GCで現在、歴史に泥を塗りかねない事態が進行し、内部で深刻な対立が続いていることは秘中の秘だ。対立については後段で詳述するが、外部からもうかがい知ることのできる異変がある。東京GCに隣接し、同じく名門の呼び声高い霞ヶ関カンツリー倶楽部のメンバーの一人が声を潜める。
「最近の東京GCは、入会しやすいともっぱらの噂。口さがない人は『カネさえ払えば誰でも入れているのではないか』と言っている」
 一般にゴルフコースのメンバーになる場合、「会員権」を購入する必要がある。その他、入会預託金や名義変更料などの負担もあるが、す・・・