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社会・文化

「ネットフリックス」に屈服する民放TV

変革拒む「既得権メディア」の自滅

2021年1月号

 年の瀬、民放業界に大きな衝撃が走った。
 二〇二〇年十二月一日、有料ネット配信大手の米ネットフリックスの日本法人が、日本経済団体連合会に入会したのだ。大手通信事業者や大手家電メーカー、さらにケーブル事業者との協力を進めている。このニュースを聞いた民放キー局幹部は「財界加入の先に、民放を呑み込む意図があるのでは」とショックを隠し切れなかった。
 日本国内のネットフリックス会員数は、約五百万人(スタンダードプラン月額一千三百二十円)。日本テレビ系フールーが約二百七十万人、フジテレビ系FODが約八十万人、TBS、テレビ東京系パラビが約六十万人にとどまる中、日本上陸から五年、ライバルをあっと言う間に抜き去り、差をつけての圧勝だ。新型コロナの感染拡大による巣篭もり生活を追い風に、韓国ドラマ「愛の不時着」など、会員獲得に向けた大ヒットコンテンツが相次ぎ、勝ち組としての確たる地位を築き上げた。若者の間では、有料配信はネットフリックス、無料配信はYouTubeが定着している。学校や会社でテレビ番組が話題となったのは昔日の光景。今は「『ネフリ見た?YouTube見た?』に時代は変わ・・・