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経済

厳冬下「停電危機」の真相

政府と電力各社による「複合人災」

2021年2月号

 一月二日、関西電力送配電の幹部は不満を募らせていた。
「なぜあかんのや……」
 十年に一度の寒波に襲われた近畿圏はじめ西日本は、大晦日から暖房需要が急増、供給逼迫を感じた幹部は関電本体の需給部門へ火力電力の焚き増しを要請した。ところが、LNG(液化天然ガス)の在庫水準が低く、発電出力を上げられないという。危機感は一気に高まり、「そんなら、節電要請せんかい」と促したが、それもできないという回答だ。
 昨年四月の発送電分離で別会社になったとはいえ、本体との意思疎通が悪すぎる。実はこの頃、霞が関では遅きに失した緊急事態宣言の再発令が検討されていたのだ。
 一千三百三十七人―。東京都の大晦日の新たな新型コロナウイルス感染者数は四桁台となって記録更新、小池百合子都知事は「初詣はぜひお控えください」と盛んに危機感を煽っていた。緊急事態宣言に節電要請が重なれば、菅義偉政権の失策が際立ってしまう。一月八日、経済産業省の梶山弘志大臣は「節電要請は考えていない」と強調した。が、電力各社の顔色が変わったのはこの日からである。
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