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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》緊急事態宣言

税金浪費で「効果なし」

2021年2月号

 新型コロナウイルス(以下新型コロナ)感染拡大を防ぐための緊急事態宣言に慎重だった菅義偉首相が一月に入り、一転して首都圏の一都三県を対象に宣言を発令した背景には、医療崩壊の懸念があるとされる。しかし、医療現場は本当に崩壊の危機にあるのだろうか。そして、緊急事態宣言発令の効果はあるのか。
 尾身茂・新型コロナ感染症対策分科会会長は一月七日、医療現場の現状について「医療機関がもうほぼ埋まり尽くしていて、病院にいる人あるいは宿泊所にいる人の数よりも、入院の調整をしている人の数が多くなってしまっている」と説明している。
 例えば、宣言発令直前の一月六日時点の都内の新型コロナ入院患者数は三千九十人で、このうち百十三人は重症だった。確保病床は、それぞれ四千床、五百床で、占有率は七八%、八七%だ。これは政府が定めた感染状況のステージ4の「最大確保病床の占有率が五〇%以上」の基準を満たし、「爆発的な感染拡大」と見なされる。菅総理が「専門家が緊急事態宣言のレベルとする、いわゆるステージ4を早急に脱却します」と宣言したのも当然だ。

感染者を引き受けない大学病院・・・