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政治

菅政権「延命」で麻生・安倍の結託

「二階封じ」で思惑一致

2021年3月号

 三月危機説も取り沙汰される菅義偉政権の命運を握るのは、新型コロナウイルスの消長や東京五輪・パラリンピック開催の可否だけではなさそうだ。与党内に菅に対する不信が渦巻く中、前総理大臣・安倍晋三と副総理兼財務大臣・麻生太郎が、当面、菅を支える考えで一致したとの情報が、政界関係者の耳目を集めている。安倍、麻生が結束して自由民主党内の不満を抑え込めば、少なくとも年内の総選挙までは菅は延命できるとの観測が強まっている。
 新型コロナ対応のための緊急事態宣言の延長が決まった二月初め頃から、永田町では「菅は四月まで持ちこたえれば、当面は続投」といった見方が囁かれるようになった。発信源は麻生周辺だ。
 一見、「美しい友情物語」のようでもある。いわく、〈今、菅を代えたところで、「ポスト菅」がいない。人気急上昇の行政改革担当大臣・河野太郎は党内の人間関係に不安があり、政策の進め方も乱暴で、まだ器ではない。前政調会長の岸田文雄も元幹事長の石破茂も覇気を欠く。総選挙に新総裁で臨んでも、自民党の議席は必ず減る。次の衆議院議員選挙に向けた政権運営は難しく、誰が総理・総裁でも、短命政権が繰り返さ・・・