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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》震災10年の「地震研究ムラ」

反省なき焼け太りと「隠蔽体質」

2021年3月号

 二月十三日、二十三時過ぎに東日本を襲ったマグニチュード七・三、最大震度六強の地震は、多くの人に「3・11」を想起させた。福島県沖を震源とする大地震だったため、津波に身構えた人も多かっただろうが、幸い、大きな潮位変化は認められなかった。大震災から十年が経過するが、当時批判を浴びた地震研究の現場はどうなっているのか。反省から再スタートを切ったはずの「地震研究ムラ」は、新たな問題を抱えている。
 二月十四日未明に記者会見した気象庁の鎌谷紀子地震情報企画官は、今回の地震について、「二〇一一年に東日本大震災を引き起こした巨大地震の余震と考えられる」と発言した。関東の国立大学元教授が呆れたように語る。
「いまだに余震や前震という言葉を安易に使う。研究者は誤解しないが、一般人には正しい意味が伝わらない。『自分たちは地震のメカニズムについて分かっているんだ』とアピールする体質は変わっていないようだ」
 余震とは、大きな地震が起きたエリアで、事後に発生する規模の小さな地震という意味しかなく、因果関係を認定したものではない。しかし一般人の多くは、「今回の地震の原因になったメ・・・