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政治

政治への「怒り」忘れた日本人

奇怪なる内閣支持率「上昇」の深層

2021年4月号

 へまをしたと思ったのに拍手を受ければ、儀礼的で称賛の意を欠いた拍手でも、失敗はなかったと安堵する。自分の演技は素晴らしかったと錯覚するかもしれない。優しすぎる観客は役者をダメにする。総理大臣・菅義偉の政権運営や政治姿勢の不評ぶりにもかかわらず、低迷していた内閣支持率が反転上昇した珍事も同じだ。菅が自身の失態を自覚せず誤った道を進み続けるなら、責任は菅だけでなく、有権者も問われる。
 菅が「地方に行くと、聴衆から歓声が上がる。俺もけっこう、人気があるんだ」と明るい表情で周囲に語るようになったのは、三月上旬の各種世論調査で内閣支持率が上向いたからだ。
 NHKの調査では「支持」が二月から二ポイント上がって四〇%に、「不支持」が七ポイント減の三七%となり、「支持」が再び「不支持」を上回った。読売新聞社の調査では「支持」が九ポイントも伸びて四八%となり、自民党政権には比較的厳しい数字の出る傾向がある共同通信社の直近の世論調査でも、内閣支持率は回復した。
「結果を出しさえすれば黙っていても分かってもらえると思っていたが、最近はちゃんと説明するようにした。それが良か・・・

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